世界中のテクノロジー規制が再び強化されました。イタリア競争管理庁(AGCM)は12月25日に、Metaが第三者のAIチャットボットをWhatsApp Business APIに接続することを禁止する方針を緊急停止したと発表しました。その理由は、この行動が市場支配地位の乱用とみなされ、AIサービスの競争と消費者利益に悪影響を与える可能性があるためです。この措置は、EU委員会が今月から開始した類似の調査に続いており、ヨーロッパがMetaがAIの入口を巡る展開に対して体系的な反トラスト審査を進めていることを示しています。
政策の核心的論点:なぜChatGPTだけが禁止されるのか、カスタマーサービスロボットはなぜ禁止されないのか?
2024年10月、Metaは2025年1月からWhatsApp Business APIのポリシーを変更すると発表しました。具体的には、APIを通じて一般的なAIチャットボット(例:ChatGPT、Claude、Perplexityなど)を配布することを禁止する一方で、企業がAIを利用して専用のカスタマーサービス(例:ECの返品対応や銀行問合せなど)を提供することは許可するとしています。Metaは、APIは一般的なチャットボットのために設計されていないことや、システムへの負荷が大きいことを理由にしています。
しかし、規制当局は、この措置がWhatsAppの19億人の月間アクティブユーザーという独占的地位を利用して、自社の「Meta AI」の競争相手を排除しようとするものであると指摘しました。AGCMは、「このポリシーはAIチャットボット市場における技術の発展と市場参入を妨げ、『重大かつ不可逆的な』競争上の損害をもたらす可能性がある」と強調しています。
EUも同様の動き、Metaは多地域からの包囲網に
イタリアだけではありません。EU委員会は12月初頭に正式に着手し、このポリシーが《デジタルマーケット法案》(DMA)に違反していないか調査しています。これにより、欧州経済域(EEA)での第三者のAIサービスプロバイダーを阻止する可能性があります。調査結果が確定すれば、Metaはグローバル年収の最大10%の罰金を課される可能性があります。
Metaの硬軟な対応:決定は「根本的な誤り」
禁令に対し、Metaは声明で反論しました。「AGCMの決定には根本的な誤りがある。WhatsApp Businessプラットフォームは決してAI企業の『アプリストア』ではない。AI企業にとって本物の配布経路はApp Store、公式ウェブサイト、業界との提携である。」会社側は即座に控訴する予定だと述べています。
業界への影響:AIの入口争奪戦が法的闘争へと拡大
今回の出来事は、より深い対立を示しています。スーパーアプリはAIサービスの「配布の生命線」を掌握しようとしているのです。WhatsAppは世界で最も普及しているコミュニケーションツールであり、もし一般AIがAPIを通じて利用できるようになれば、すぐに高価値なトラフィックエントリポイントとなるでしょう。Metaのこの行動は、広い意味で「フェンス内戦略」の延長と見なされています。自社開発のAIを支援し、外部の競合を封じ込める形となっています。
