設立10周年を迎えたOpenAIは、ChatGPTを「スクリーンから出て、衣装に取り入れる」ことを正式に発表しました。12月12日、同社はXプラットフォームで公式ストア「OpenAI Supply Co.」の公開を大々的に発表したのです。これはこれまで社内従業員のみが利用可能で、会社のメールアドレスが必要だった周辺サイトが、初めて一般ユーザーに開かれたものです。この情報が発表されて数時間以内に、すべての商品は売り切れとなり、公式ウェブサイトは午前7時時点で品切れ状態となりました。

シンプルなデザインながらも、テクノロジー好きの隠喩を含むこのストアは、記念品店であるだけでなく、AGI(汎用人工知能)への未来への宣言書でもあります。店内の商品はTシャツや帽子、限定コレクションカードなど、すべてがOpenAIの核心的な使命をテーマにしています。人気のあるTシャツには、会社の規則文に掲載されている象徴的なスローガン「全人類のために役立つAGI」(AGI that benefits all of humanity)がプリントされています。また、従業員ログインページの例として使用されたメールアドレスはagi@openai.comとされ、理想を日常的なシンボルとして具現化しています。

最も人気があるのは、ポケモンカードをヒントにした5枚の「技術図鑑」コレクションカードです。それぞれはSora、Sora2、GPT-5、画像生成モデル、そして会社の新方向を象徴する「OpenAI Blossom」を称えるものとなっています。各カードには技術的なパラメータが記載されており、その中には「1分間の連続動画を生成できる」「世界の仕組みを理解できる」といったユーモラスかつ正確なタグが付いています。これにより、最先端のAI機能がファンが収集・拡散可能な文化的シンボルへと変換されます。
帽子シリーズにも巧みな隠しコラムがあります。仮想カスタマーサポート番号「1-800-CHATGPT」がプリントされた野球帽、名前の「research」が刺繍されたクラシックスタイル、サンフランシスコ本社を象徴する「SF」のマークが入った帽子、そして2024年9月に推論モデルの記念としてリリースされた「Thinking deeply」スタイルの帽子。これらはすべて、OpenAIの信奉者たちのアイデンティティ構築に寄与しています。銀色の炎の模様が描かれたレトロな野球帽は、技術によって「知性革命を燃やす」という隠喩と解釈されています。
注目すべきは、このストアが2024年7月まで「今すぐオープン予定」と表示されていたことです。今回の突然の公開販売は、GPT-5やSora2などの重要なモデルを次々と発表している時期と重なっています。AGIが世界的なAI競争の最終目標とされる現在、周辺商品の人気は単なるファン経済の成功ではなく、ブランドの物語を巧妙に構築した戦略でもあります。技術への信仰を、着用可能、収集可能、誇れる文化的資産に転換する試みです。
Soraのカードが二次市場で高騰し、「AGI Tシャツ」がシリコンバレーで新たなファッションとなる中、OpenAIは最も伝統的な方法で、最も革新的な未来を宣言しています。AGIは遠く離れた幻想ではなく、すでに身につけて、頭につけている現実なのです。
