11月6日、国家衛星海洋応用センターは福建省厦门市で、中国が独自開発した世界初のエンド・トゥ・エンド人工知能(AI)海洋大モデル「カンハイ(瞰海)」を正式に発表しました。このモデルは、衛星リモートセンシング観測から海洋の3次元環境予測までの全プロセスを閉ループで実現する初めてのものであり、現在の海洋状況をリアルタイムで再構築できるだけでなく、未来10日間における海面から600メートルの深さまでの温度、塩分、密度、流れの変化を正確に予測できます。これにより、海洋科学研究や災害防止、生態系管理において、画期的な「デジタルオーシャンミラー(数字海洋鏡像)」が提供されます。
「カンハイ」の核心的な突破点は、エンド・トゥ・エンドのインテリジェントな推論アーキテクチャです。従来の海洋予測は物理モデルと人間の経験に依存しており、期間が長く精度に限界がありました。一方、「カンハイ」は大量の衛星リモートセンシングデータを入力として、ディープラーニングによって海洋システムの時間的・空間的進化法則を自動的に学習し、中間の複雑なモデリングステップを省略して「観測即予測」を実現します。これは、例えば南海上空を通過する海洋衛星が、AIが数時間以内にその地域の未来10日間の3次元動態図を出力できることを意味します。この精度は既存の方法よりもはるかに優れ、応答速度も何倍にも向上しています。

図の出典コメント:画像はAIによって生成され、画像ライセンス提供者はMidjourneyです。
この成果の背景には、中国の海洋観測体系の蓄積があります。中国工科院の蒋興偉(ジャン・シンウェイ)院士が主導するチームにより、プロジェクトは2022年に開始され、中国独自の海洋衛星(如:海洋一号、海洋二号シリーズ)と国際衛星データを深く統合し、グローバルで高頻度かつ多角的な訓練データセットを構築しました。20年以上の発展を経て、中国は世界をリードする海洋衛星観測ネットワークを建設し、リモートセンシングデータは全球海洋観測量の70%以上を占め、「カンハイ」の堅固なデータベースを提供しています。
「カンハイ」は単なる科学技術の突破ではなく、気候変動と海洋災害への対応のための重要なインフラストラクチャーでもあります。今後、赤潮、海水温異常、強い潮流の変化などのリスクをリアルタイムで警告し、漁業のリスク回避、海上風力発電の運用・保守、遠洋航行計画の支援、さらには世界の炭素循環研究に高精度な境界条件を提供することができるでしょう。
AIbaseによると、「カンハイ」の公開は、AIが消費や製造分野から地球システム科学へと本格的に浸透していることを示しています。大規模モデルが人間の言語だけでなく、海洋の「鼓動(脈拍)」を読み取れるようになることで、我々がこの青い惑星に対する理解は本当に「スマート予測時代」に突入することになります。そして今回は、中国が世界をリードしています。
