Figma の最近の成功した上場(IPO)は、企業と投資家にとっての節目であるだけでなく、米国連邦取引委員会(FTC)元議長のリナ・カーン(Lina Khan)が反トラスト政策を擁護する新たな根拠となった。
先週金曜日、カーンはX(旧Twitter)で投稿し、Figma の上場を祝い、「スタートアップが既存の巨頭に買収されるのではなく、独立して成功する企業になることができることは、大きな価値を生み出すことを思い出させてくれる」とコメントした。彼女の発言は、2023年にアドビ(Adobe)が200億ドルでFigmaを買収しようとしたが失敗した取引を直接的に指している。
その頃、FTC議長として、カーンは大手テクノロジー企業の合併・買収交易に対して前例のない厳格な立場を取っていた。アドビは最終的に欧州連合やイギリスの規制当局の承認を得られなかったため、買収を中止したが、FTCによる反トラスト審査もこの取引の障害の一つだった。規制当局は、取引が成立すれば、Figmaがアドビの「効果的な競争相手」になる可能性を抑圧する恐れがあったと考えていた。
カーンは常に、厳格な規制審査がスタートアップ企業にとってより公平で競争力のある環境を作り出すと考えてきた。彼女は以前、創業者が「6、7、あるいは8人の潜在的な追求者」を持ち、それらのうち「1、2人だけ」を持っている場合よりも、市場全体が利益を受けると弁護していた。現在、彼女はFigmaのIPOを「従業員、投資家、革新、そして公衆の勝利」と描写し、自身の政策の有効性を証明している。
批判者による反論:成功は独自のイノベーションによる
しかし、カーンの意見はすぐに批判を受けた。彼らは、Figmaの成功は自社のイノベーションと成長の結果であり、規制機関の介入とは無関係だと主張している。Wedbush Securitiesのアナリストであるダン・アイブズ(Dan Ives)は『ビジネスインサイダー』へのインタビューで、「Figmaは大きな成功を収めたが、それは同社の創新增長の結果であり、連邦取引委員会やカーンのおかげではない」と率直に述べた。
批判者は、規制審査によってFigmaがIPOの道を歩むことになったが、最終的な成功は同社のコア競争力に起因していると指摘している。この成功はカーンの過激な政策の直接的結果ではなく、規制上の障壁に直面した際に強制的に取った戦略的選択肢のように見える。カーンはトランプ政権の第2期就任当初に辞任したが、規制とイノベーションに関する論争はまだ終わっていないようだ。