国際作曲家作詞家協会(CISAC)の世界経済調査によると、音楽業界従事者は今後4年間で約4分の1の収入減に直面するとのことです。この調査は、人工知能(AI)技術が人間の創造性に与える影響を初めて探ったもので、生成AI市場の急速な拡大に伴い、オーディオ・ビジュアル業界従事者も20%以上の収入減に見舞われると予測されています。

音楽フェス コンサート

画像出典:AI生成画像、画像ライセンス提供元Midjourney

この報告書は水曜日にパリで発表され、AIの急速な発展は巨大テクノロジー企業を大きく豊かにする一方、政策立案者が対策を取らなければ、クリエイターの権利と収入が深刻な脅威にさらされると指摘しています。CISACの会長で、ABBAのメンバーでもあるビョルン・ウルヴァース氏は、オーストラリアとニュージーランドがクリエイターの権利保護政策において世界をリードしていると特に言及しました。

ウルヴァース氏は声明の中で、「オーストラリアで新たに設立された上院AI特別委員会の報告は心強い」と述べ、オーストラリアとニュージーランドが、クリエイターの権利を守るためのゴールドスタンダードとなる政策を確立することで、AIを人間の創造性を高めるツールとして、人間の創造性を代替するものではなく、活用していくべきだと強調しました。

最近、オーストラリア上院がAIの将来的な影響に関する最終報告書を発表し、独立したAI法の制定やクリエイターの保護強化など、13の提言が盛り込まれています。オーストラリアの音楽著作権管理団体APRA AMCOSの最高経営責任者であるディーン・オムストン氏は、この世界的な報告書はAIがもたらす大きな機会を認めている一方で、各国政府がクリエイターの権利と収入を守るために迅速に行動する必要があることを明らかにしていると述べています。

報告書では、2028年までに生成AI音楽が従来の音楽ストリーミングプラットフォームの収入の20%を占め、音楽ライブラリの収入の60%もAI生成コンテンツが占めると予測しています。同時に、AI開発者と提供者はこの過程で約40億ユーロの収益を得ると予想されており、クリエイターの経済的価値がAI企業に移行しつつあることを反映しています。

ウルヴァース氏は、「適切な規制がなければ、生成AIは人間のクリエイターのキャリアと生計に深刻な損害を与えるでしょう」と述べ、政策立案者に対し、今後の立法審査において、クリエイターの権利を保護し、人間の創造性と文化を促進するAI環境を整備するための適切な規制を策定するよう求めています。

要点:

💰 音楽業界従事者は今後4年間で約25%の収入減、オーディオ・ビジュアル業界従事者は20%以上の収入減に直面する見込みです。

📜 オーストラリアとニュージーランドは、クリエイターの権利保護政策において先進的な立場にあり、多くの政策提言がなされています。

🤖 生成AIは音楽業界を大きく変革し、2028年までに従来の音楽ストリーミングと音楽ライブラリの収入のかなりの部分を占めると予想されています。