AIスタートアップ企業Magicが、3億2000万ドルの資金調達ラウンドを完了したと発表しました。元Google CEOのエリック・シュミット氏、AlphabetのCapitalG、Atlassianなど、複数の投資家が参加しています。この資金調達により、同社の総調達額は5億ドル近くに達し、資金力のあるAIコーディングスタートアップ企業の仲間入りを果たしました。
Magicは、コード生成とソフトウェア開発タスクの自動化を行うAIモデルの開発に注力しています。同社はブログ記事で、調達資金をGoogle Cloudとの連携に充て、同社のプラットフォーム上に2台のスーパーコンピューター「Magic-G4」と「Magic-G5」を構築すると発表しました。Magic-G4はNvidia H100 GPUで構成され、Magic-G5はNvidiaの次世代Blackwellチップを使用する予定です。これらのスーパーコンピューターにより、Magicモデルのトレーニングと推論の効率が大幅に向上し、将来的には数万個のGPUに拡張され、160京FLOPSの計算能力を実現する見込みです。
Magicは、Eric Steinberger氏とSebastian Dro氏が2022年に共同設立し、ソフトウェアエンジニアがコードの記述、レビュー、デバッグ、計画を行う支援を目的としています。他のAIツールとは異なり、Magicの革新的な点は、モデルが超長文コンテキストウィンドウを持つことです。最新のモデルLTM-2-miniのコンテキストウィンドウは1億トークンに達し、現在市販されているモデルの中で最大です。これにより、Magicのモデルはより複雑で大規模なコーディングタスクを処理でき、従来のAIコーディングツールを超える能力を持っています。
チーム規模は小さいものの、Magicは急速に拡大しており、人間よりも信頼性の高い人工知能(AGI)の開発を目指しています。そのため、Magicは元OpenAIスーパーコンピューティングチームの責任者であるBen Chess氏を採用し、さらにサイバーセキュリティ、エンジニアリング、研究チームの拡大を計画しています。
AI支援コーディングツールの需要が高まる中、Magicの将来性には投資家の注目が集まっています。Polaris Researchの推定によると、Magicがターゲットとする市場は2032年までに271億7000万ドルに達する可能性があります。セキュリティや著作権の問題に直面しているものの、Magicの革新的な技術と野心的な目標は、競争の激しいAI業界で同社を際立たせています。