テクノロジーメディアのWccftechは、昨日(12月15日)に、アップルがその「垂直統合」戦略を深化しており、消費者電子製品だけでなく、コアな計算インフラストラクチャにも手を伸ばしていると報じた。この動きは、初の自社開発AIサーバーチップ「Baltra」の開発を加速させている。

情報によると、この自社開発プロジェクトはすでに開始されており、核心的なネットワーク伝送技術を担当するキーパートナーとして、ボーディンク(Broadcom)が選ばれている。このチップは、2027年までには正式に導入される見込みで、アップルが英偉達(NVIDIA)のチップに依存することを脱却する重要な一歩とされている。

GPU チップ (7)

「推論優先」戦略とアーキテクチャ設計

「Baltra」チップは、万能を目指すのではなく、「AI推論(Inference)」という特定の分野に焦点を当てて設計されている。

報道によると、アップルは現在、グーグルのカスタム版3兆パラメータのGeminiモデルを毎年10億ドルかけて借りており、これをもとにクラウド上の「Apple Intelligence」サービスを駆動している。したがって、「Baltra」はモデルのトレーニングに必要な膨大な演算力には対応しなくてもよく、既存のモデルを使ってユーザーの指示を迅速に処理する(例えばメール作成やSiriのリクエスト)ための性能に集中する。

「推論優先」の戦略に基づき、「Baltra」のアーキテクチャは従来のトレーニング用チップとは大きく異なる。推論用チップは「低遅延」と「高い並行処理能力」に重点を置くことになる。アップルとボーディンクは、INT8(8ビット整数)などの低精度数学演算能力の最適化に注力し、これによりエネルギー消費を大幅に削減し、ユーザー側の応答速度を著しく向上させることが期待されている。

サプライチェーンにおいて、このチップは台湾積体電路製造(TSMC)の先進的な3nm「N3E」プロセスを使用する可能性が高い。設計作業は今後12か月以内に完了する予定である。

越えがたい競争壁の構築

このメディアは指摘しているように、「Baltra」の開発は、端末デバイス(A/Mシリーズチップ)からクラウドサーバーに至るまで、アップルがすべてのコア技術の制御を図る努力の一環であり、越えがたい競争壁の構築を目指している。