NVIDIAが支援するスタートアップ企業Starcloudは、宇宙で初めて大規模言語モデル(LLM)のトレーニングに成功し、宇宙データセンターへの重要な一歩を踏み出しました。計算能力やエネルギー需要が増加する中、宇宙資源の利用は将来の発展方向として注目されています。
Starcloudは先月、Starcloud-1衛星を打ち上げ、この衛星にはNVIDIA H100 GPUが搭載され、Andréj Karpathy氏が開発したnano-GPTモデルのトレーニングが完了し、グーグルDeepMindのGemmaモデルでの推論も実施されました。Starcloudの創業者兼CEOであるPhilip Johnston氏はLinkedInで、「私たちは宇宙でNVIDIA H100を使用して最初のLLMをトレーニングすることに成功しました!私たちは宇宙でグーグルGemmaバージョンを実行した最初のチームです!」と述べました。
Johnston氏はさらに、この成果は地球のエネルギー資源を節約するために計算リソースを宇宙へ移す大きな進展を示していると指摘しました。StarcloudのCTOであるAdi Oltean氏も、H100が宇宙で動作するためには会社のエンジニアリングチームのイノベーションと努力が必要であり、今後さらなるモデルのテストを計画していると語っています。
Starcloudは2024年に設立され、従来のデータセンターが直面する環境的プレッシャーに対処するため、宇宙計算センターの構築を目指しています。国際エネルギー機関(IEA)によると、2030年までにデータセンターの電力消費量は倍増すると予測されています。また、地上の施設では水資源の不足や排出量の増加が課題となっており、宇宙プラットフォームは連続的な太陽光エネルギーを利用し、冷却の問題を回避できます。
同社は、完全に太陽光で運用される5ギガワット規模の宇宙データセンターを建設する計画を立てており、面積は4キロメートルに及び、アメリカ最大の発電所を上回る見込みです。また、同等規模の地上の太陽光発電場よりも安価でコンパクトになると予想されています。
Starcloud以外にも、グーグル、SpaceX、およびブルー・オリジン(ベゾスの会社)などの企業が宇宙データセンターの可能性を探っています。グーグルは最近、軌道上にAIデータセンターを設置し、衛星と高容量光学接続によって分散型コンピューティングクラスターを構築する「Suncatcher」プロジェクトを発表しました。グーグルCEOのSundar Pichai氏はこれを「月面計画」と呼んでおり、2027年に初期テストを行う予定です。
一方で、SpaceXも次世代のStarlink衛星を利用して宇宙データセンターを構築する計画を持っており、今後5年間で最もコスト効果の高いAI計算選択肢となることを予測しています。
ポイント:
🌌 Starcloudは宇宙で初めて大規模言語モデルをトレーニングし、宇宙データセンターへの重要な進展を示しています。
☀️ 同社は5ギガワット規模の太陽光で運用されるデータセンターを建設する計画を立てており、最大の地上発電所を上回る見込みです。
🚀 複数の企業が宇宙データセンターの可能性を模索しており、宇宙コンピューティングの急速な発展を促進しています。
