ドイツ・ミュンヘンで開催されたIAA Mobilityモビリティショーにおいて、米国の半導体大手クアルコム社とサムスンの子会社ハーマンは、車両の人工知能(AI)機能を向上させるための新たなパートナーシップを発表しました。この協力により、クアルコムのSnapdragon Cockpit Eliteプラットフォームがハーマンの車載製品ポートフォリオに統合され、ユーザーと車両とのインタラクションの仕方が変革されます。

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双方によると、今回の協力により、車内での高度なAIモデルが活用されるようになります。具体的には、リアルタイムの高級運転支援システム(ADAS)の視覚化や、状況に応じたスマートな機能、そしてドライバーおよび乗客の感情、好み、文脈的な情報を理解し反応する共感型のユーザーインターフェースなどが含まれます。この技術の実現により、車内でより直感的かつカスタマイズされた体験が可能になります。

クアルコムの計算能力は、自動車メーカー向けのソリューションであるハーマンのReadyシリーズ製品を強化します。その中には、自然な対話ができるLuna AI仮想アシスタント「Ready Engage」、拡張現実技術で重要な情報を表示する「Ready Vision QVUE」、AIに基づくドライバー監視と介入を行う「Ready Care」などのコンポーネントが含まれます。今回の協力は、欧州と中国の自動車メーカーを対象に開始され、開発サイクルの短縮やシステムの複雑さの簡素化、さらにブランドごとのカスタマイズされたユーザー体験を提供することを目指しています。

消費者には、より明確なグラフィック表示とより強力なAI機能がもたらされます。また、両社は高通の中央計算製品群を利用した拡張性のあるソリューションの開発にも取り組んでおり、Snapdragon Ride EliteとSnapdragon Ride Flexのシステムオンチップ(SoC)技術を活用していきます。これらのプラットフォームは、一貫したSoC上で異なるワークロードを並列実行できる中央計算アーキテクチャを提供し、消費電力を削減し、システム設計を簡素化しながら、センサー融合、意思決定、実行などの重要なADAS機能をサポートします。

クアルコムの上級副社長エンリコ・サルバトーリ氏は、「今回の提携は、自動車のイノベーションにおける『重要な瞬間』であり、我々は共にAIの力を取り入れて車内空間を革新している」と語りました。一方、ハーマンの上級副社長ヒューベルト・ヴェルホーフェン氏は、「クアルコムとの提携を通じて、常に改善されるスマートで直感的な体験を提供でき、車が個人的に愛するデバイスのように快適で満足感を与えるものとなるだろう」と述べました。

ポイント:

🌟 クアルコムとハーマンが協力し、AI技術を車に統合して、ドライビング体験を向上させます。

🚗 新技術により、車内体験が個別化され、リアルタイムのADAS可視化や感情理解インターフェースが実現されます。

⚡ 中央計算アーキテクチャにより、消費電力とシステムの複雑さを削減し、車のスマート化を推進します。