人工知能(AI)はまだ資本市場で注目を集めているが、現実世界のデータでは落ち着きの兆しが見られている。米国人口調査局の最新の2週間ごとの調査によると、企業におけるAIの使用量は2023年11月に調査を開始して以来、最大の減少幅を記録している。
企業におけるAI導入率が全体的に低下
調査対象は米国で120万社以上に上り、その結果、従業員数が250人以上の大型企業において、AIツールの使用割合は6月中旬の約14%から8月には12%以下に下がった。また、従業員数が19~250人の中小企業でも、AIの導入率は低下または横ばいであることが確認された。従業員数が4人未満の小規模企業ではAIの使用率がわずかに増加しているものの、全体的なトレンドは依然として心配されている。

これは、企業AIを持続可能なビジネスモデルの鍵と見なすテクノロジー投資家やCEOにとって、明白な警告信号である。過去数年間、SAPのCEOクリスティアン・クラインやユーロスター・バンク(UBS)などの業界リーダーは、企業AIの将来を非常に期待しており、それが企業運営を完全に変えると信じていた。しかし、現在のデータはこの楽観的な予測を支持していない。
利益性の低さと技術革新の停滞
調査によると、企業におけるAIの利益性は極めて低い。アメリカの95%の会社が、AIソフトウェアを導入したにもかかわらず、新たな収益を生み出していないと述べている。これにより、一部の金融観察者たちは、テクノロジー業界がAIに巨額を投資しても回収が難しい可能性があると警告し、ソフトウェアのイノベーションも停滞しているように見える。
さらに、期待されていたOpenAIの新モデルGPT-5は、インターネット上で大きな話題となったが、ベンチマークテストでのパフォーマンスは予想より大幅な飛躍を遂げていない。以前AIによってリストラや採用停止を行った企業も、再び従業員を採用し始めている。これは、AI技術が約束したものを果たしていないことを示す最も明白なサインかもしれない。
企業AIが方向転換して収益を上げられなければ、米国人口調査局の最新データは、企業AIの応用「急坂」の始まりに過ぎないかもしれない。
