英国のモバイル通信事業者Virgin Media O2は先日、巧妙な詐欺対策技術を発表しました。それは「Daisy」と呼ばれるAI搭載のバーチャルおばあちゃんです。急増する電話詐欺に対処するために特別に設計されたこのAIは、詐欺電話を受け、犯人の時間をできるだけ長く引き延ばすことを唯一の任務としています。

詐欺師が事業者が設定した特定の番号に電話をかけると、「本物と区別がつかない」AIロボットが電話に出ます。O2によると、高齢女性の声のチャットボットを開発するために、最先端のAI技術とモデルが使用され、有名な反詐欺YouTuberであるJim Browning氏もトレーニングに参加したとのことです。

image.png

画像提供:zdnet

通話プロセス全体は完全に自動化されています。AIはリアルタイムで音声を読み取り、テキストに変換し、カスタム設計された大規模言語モデルとキャラクター設定に基づいて応答を生成し、最後にAI音声合成モデルによって自然な会話音声に変換します。これらすべてがリアルタイムで行われ、人的介入は必要ありません。

Daisyは簡単に騙されそうな高齢者のふりをしていますが、実際には詐欺師にとって悪夢です。孫の話や趣味について延々と語り、技術に疎いふりをしたり、役に立たない偽の銀行情報を提供したりします。いずれの方法でも、目的は一つだけです。詐欺師の時間を浪費させ、本当の被害者を悩ませる時間を奪うことです。

デモビデオでは、Daisyの行動が面白おかしく紹介されています。「ウェブサイトのアドレスは、wwwとドットが必要ですよね?」と尋ねたり、画面に猫のFluffyの写真しか表示されないことを愚痴ったり、果てしない話に脱線したりします。これにより、詐欺師はついに我慢できなくなり、「わざと邪魔しに来たのか!」「もう1時間近くも!」と怒り狂います。

この革新的な技術は、AIが詐欺対策分野で持つ可能性の大きさを示すだけでなく、テクノロジー企業がユーザーの安全を守る上で果たす社会的責任も明確に示しています。Virgin Media O2は、AI技術を巧みに活用することで、電話詐欺対策に独自の新たな道を切り開きました。