先日、アマゾンはAIスタートアップ企業Adeptと技術ライセンス契約を締結し、Adeptの共同設立者および一部チームメンバーが同電商大手に加わることを発表しました。Adeptは、様々なソフトウェアタスクを実行できるAI「エージェント」の開発に特化しており、その技術はアマゾンの生成AI分野における拡大を支えることになります。

Geekwireの報道によると、Adeptの共同設立者兼CEOであるDavid Luan氏がアマゾンに加わり、他の共同設立者であるAugustus Odena氏、Maxwell Nye氏、Erich Elsen氏、Kelsey Szot氏も同社に加わります。しかしながら、Adeptは閉鎖せず、エンジニアリング責任者のZach Brock氏がCEOを引き継ぎ、「エージェントAIを支援するソリューション」に注力していくとのことです。

脳 大規模モデル AI

画像出典:AI生成画像、画像ライセンス提供元Midjourney

Adeptは公式ブログで、高度なAIモデル、エージェントデータ、ネットワークインタラクションソフトウェア、カスタムインフラストラクチャを活用し、実用的な汎用AIとエンタープライズエージェント製品を構築し続けると述べています。この取引は、以前MetaやMicrosoftとの買収交渉を行っていたAdeptにとって新たな活路を開くものとなりました。

アマゾンはこの取引を通じて、重要な人材と技術を獲得しました。David Luan氏は、以前Alexaの責任者であり、現在は新しいAGIチームを率いるRohit Prasad氏の指揮下で働くことになります。Prasad氏は、Adeptチームの専門知識は、アマゾンが実用的なAIソリューションで消費者と企業顧客にサービスを提供するというビジョンと合致していると述べています。

Adeptは設立から2年間、自然言語を使用してあらゆるソフトウェアツールで操作を実行できるAIモデルの構築を目指してきました。運営上の課題や激しい市場競争に直面しながらも、Adeptは4億1500万ドル以上の資金を調達し、評価額は約10億ドルに達しています。今回のアマゾンとの提携は、Adeptが課題を克服し、AIエージェント技術の商業化を実現するのに役立つ可能性があります。

AIエージェント市場の競争が激化する中、アマゾンの今回の買収はAdeptにとって転機となる可能性があり、同時にアマゾンのAI分野における野心を支えるものとなります。規制当局によるこのような人材・技術買収に対する姿勢はまだ不明瞭ですが、結果如何に関わらず、今回の提携はAI業界に大きな影響を与えるでしょう。