2026年5月20日のアリババクラウドサミットで、アリババクラウドは「エージェント(智能体)時代」に向けた完全なスタック技術体系のアップグレードを正式に発表しました。これは、下位のチップからクラウドプラットフォーム、モデル、推論ソリューションに至るまで、全体的なフローを再構築したものです。これにより、アリババクラウドは「人間ユーザーをサポートするクラウド」から、「大量のエージェントが24時間連続で動作できる『AI工場』を構築する」段階へと転換しました。
1. コア基盤:パインテック真武M890チップおよびスーパーノードサーバー
今回のアップグレードの最も基本的な動力源は、パインテックが開発した新しいトレーニング・推論一体型AIチップである真武M890です。
性能の飛躍: M890には144GBの大容量メモリが内蔵されており、前世代の真武810Eの3倍の性能を持ち、FP32からFP4までのさまざまなデータ精度をネイティブにサポートしています。このため、エージェントシーンにおける高精度トレーニングと超低精度同時推論のニーズに完璧に対応できます。
クラスターコミュニケーションの突破: 自社開発のICN Switch 1.0接続チップと併せて、アリババクラウドは真武M890を搭載したパンジゅうAL128スーパーノードサーバーを発表しました。128枚のAIチップによる「ストレージ、計算、ネットワーク」のシステムレベルでの協働により、百ナノ秒級の極めて低い通信遅延を実現し、大規模な知能計算クラスターの運用効率と安定性を質的に向上させました。
今後の計画: パインテックは初めて真武シリーズのチップロードマップを公開し、今後2年間でより高い演算能力を持つ真武V900と真武J900チップを順次発売する予定であることを明確にしました。これにより、データセンターでの演算力市場での長期的な競争力を確保する方針です。
2. コアインターフェース:リニューアルされた「Qwen Cloud」と「エージェント化インタラクション」
アリババクラウドは、クラウドとのインタラクションロジックを画期的に改革しました。従来のクラウドプラットフォームは「人間」を対象として設計されていた(コントロールパネルやダッシュボードなど)、しかしエージェント時代のクラウドは「エージェント」を対象として設計される必要があります。
AIネイティブな公式サイト「Qwen Cloud」: ウェブサイトのホーム画面は煩雑な製品リストではなく、標準化されたスキルインストールコードとなっています。エージェントはこのコード指令を直接解析し、自動的にクラウドプラットフォームの演算力、ストレージ、モデル機能を呼び出すことができ、手動でコントロールパネルにログインして設定する必要はありません。
能力の標準化: アリババクラウドは150以上の主要モデルとクラウド製品の機能を標準化されたスキルとCLIツールにカプセル化しました。Claude Codeや主要なエージェントフレームワークに関しても、一文のコマンドでアリババクラウドのすべてのインフラストラクチャ機能を迅速にインストールし、使用することが可能です。
3. 技術戦略:「チップ-クラウド-モデル-推論」の全スタック統合
この新たな技術体系は、エージェント負荷によって生じる独自の課題を解決することを目的としています。これらのエージェントは「不規則な弾性、短いライフサイクル、瞬時に大量の並行処理」の特徴を持っています。
深層最適化: アリババクラウドはモデル(最新の旗舰モデルであるQwen3.7-Maxなど)だけでなく、下位のチップ(真武シリーズ)と上位の推論フレームワークの深く融合することで、演算リソースの最大限のスケジューリングを実現しました。
目標の移行: アリババクラウドCTOの李飛飛と関係者によると、大規模モデルの焦点は単なる「人間の好みに合わせる(言うのが上手)」から「タスクの目標に合わせる(できること)」へと移行しています。この一連の進化は、エージェントがミリ秒単位で応答し、複雑なエンジニアリングタスクを効率的に行えるようにすることを目的としており、あらゆる業界でのAIアプリケーションへの障壁を下げています。
まとめ:
