OpenAIはアマゾンと、AI計算力の枠組みを変える可能性のある深い協力関係を進めており、『The Information』によると、OpenAIはアマゾンから少なくとも100億ドルの資金調達を交渉しており、トレーニングインフラにアマゾンが独自開発したAIチップ「Trainium」を導入することを検討している。これにより、計算力サプライチェーンの多様化が図られる。
もし取引が成立すれば、これはアマゾンのTrainiumチップが獲得する最も重要な外部顧客となるだろう。AWSがNVIDIAの独占を打破するために自前で開発したAIアクセラレータであるTrainiumシリーズは、これまで主にアマゾン内の巨大モデル訓練に使用されてきた。今年6月初頭には、AWSはTrainium3を発表し、性能が飛躍的に向上した:前世代に比べて計算性能は最大4.4倍、エネルギー効率は4倍、メモリ帯域はほぼ倍となった。
さらに重要なのは、Trainium3を基盤として構築されたUltraServerシステムが持つ驚異的な拡張性だ。単一のラックに144枚のチップを設置でき、全体のクラスターでは最大で100万枚のTrainium3を配置できる。このように大規模な専用計算力を単一のAIアプリケーションに提供できるため、全体のシステム規模は前世代の10倍に達する。このような超大規模な展開能力は、OpenAIのような先端AI企業が求める大量かつ安定的で低コストな計算力に完璧に合致している。
現在、OpenAIのトレーニングクラスターはNVIDIA GPUに大きく依存しているが、モデル規模が指数的に増加するにつれて、計算力のコストと供給リスクがますます顕在化している。アマゾンのチップを導入することは、技術的なバックアップだけでなく、戦略的なヘッジにもなる。第二のサプライヤーを支援することで、OpenAIは価格交渉力の強化や納品の安全性を確保し、AIインフラストラクチャーエコシステムの多極化を推進できる。
アマゾンにとっても、この協力は非常に重要である。OpenAIをTrainiumエコシステムに含めることができれば、そのチップが最高レベルのAIトレーニング能力を持っていることを証明するだけでなく、他の大規模モデル会社も追随する可能性があり、アマゾンが「内部利用」から「外部商業化」への重要な転換点を加速するきっかけになる。
AI競争が「計算力が国力」という段階に入った今、OpenAIとアマゾンの潜在的な連携は、単なる企業同士のビジネス決定ではなく、グローバルなAIサプライチェーンの去中心化において重要な転機となるかもしれない。NVIDIAの護城河は、静かに広がる第二の戦線によって衝撃を受けている。
