人工知能のグレートカンパニーであるAnthropicは最近、注目を集める内部レポートを公開しました。このレポートでは、「内省」を通じて、AIツールが自社エンジニアや研究者たちの業務プロセスを根本的にどのように変えたかを詳細に明らかにしています。
このレポートのタイトルは『AIがAnthropicの仕事はどう変えるのか』です。2025年8月に会社内の132人の技術職従業員を対象にした調査および53回の深掘りインタビューに基づいて、生産性は急激な成長を遂げている一方で、スキルへの不安や人間関係の希薄化も浮き彫りになっています。

生産性の急上昇と「新しい仕事」の登場
レポートによると、AIはAnthropicの日常開発に深く浸透しています。昨年と比べて、従業員が自己評価する生産性の向上率は20%から50%に増加しました。現在、エンジニアたちは約60%の日常業務で自社開発モデル(Claude Sonnet4やOpus4など)を使用しています。
より注目すべきは、AIが単に既存業務のスピードを速めただけでなく、新たな業務分野を創造したことです。応募者は、AIアシスト業務の約27%が「手作業で行うのはコストが高すぎるため、元々やらなかった」業務であると推定しています。これは、より優れた内部ツールの構築や、より網羅的なテストコードの記述、そして長期にわたって放置されていた小さなコードの欠陥(papercuts)の修正などを含みます。AIによりエンジニアたちは、煩雑な繰り返し作業から解放され、より価値が高いまたは探求的なタスクに集中できるようになりました。
「フルスタック化」の傾向とスキルへの不安
AIの導入により、技術的な役割分担の壁が崩れています。レポートでは、Anthropicのエンジニアたちがどんどん「フルスタック化」していると指摘されています。AIを活用することで、以前はバックエンドやセキュリティに特化していたエンジニアでも、前向きにフロントエンドのUIを作成したり、データビジュアライゼーションを行ったりできるようになっています。Claude Code(社内でのコード作成ツール)の自律性も高まっており、今では半年前よりも倍以上複雑なワークフローを独自で処理できるようになりました。
しかし、このような利便性には深刻な懸念も伴っています。一部のベテランエンジニアは、AIへの過度な依存によってコア技術能力が「縮小」してしまうことを心配しています。生成されたコードが簡単に得られるようになったことで、エンジニアはその背後にある論理的理解を失い、AIが出力するコードの品質を適切に評価・監視することが難しくなるかもしれません。
職場文化の微妙な変化
技術的な側面に加えて、AIが職場の社交に与える影響も無視できません。レポートでは、新人の従業員が今ではClaudeに質問する傾向が強くなり、ベテランの同僚に尋ねるよりも少なくなりました。これは問題解決の効率を上げていますが、人間同士の協力を減らしており、伝統的な「メンター-弟子」という指導体制が弱体化しています。一部の従業員は、AIの能力が継続して進化していく中で、自分自身の将来の職務について迷いを感じており、「自分の仕事が自動化されるのでは」と懸念しています。
