MacRumorsウェブサイトのアーロン・ペリス(Aaron Perris)によると、アップルは内部で「Asa」というAIチャットボットをテストしている。このツールはApple Storeの小売スタッフを支援し、iPhoneなどの製品の特徴や差別化された使用シナリオを迅速に習得できるようにし、顧客とのインタラクション時の説明能力を向上させ、店内体験を改善することを目的としている。

ペリスが共有したスクリーンショットには、「Asa」がアップル社内アプリ「SEED」に統合されていることが示されており、このプラットフォームはもともと教育訓練や販売サポートツールとして使われていた。ここに「Asa」を導入したことは、アップルがAIを活用して小売体験を強化しようとしていることを意味する。従業員にとって、「Asa」は単なるよくある質問(FAQ)システムではなく、質問に即座に対応し、状況に応じたアドバイスを提供できる知能ツールである。

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アップルはその小売店をブランド体験の重要な延長線と見なし、これは単なる販売場所ではなく、製品の哲学やデザイン理念を伝える拠点でもある。Asaの導入は、各従業員の専門知識を迅速に高め、個人の経験の違いによって顧客に一貫性のない情報が提供されるのを防ぐことを目的としている。このような取り組みは、アップルが小売部門において長年重視してきた「一貫した体験」の戦略と一致している。

「Asa」はアップルが内部小売環境で初めて大規模に導入したAIアシスタントであるが、現時点で消費者向けの「汎用型チャットボット」を公開していない。グーグル、OpenAI、サムソンなどの競合企業がAIサービスを急速に統合しているのとは異なり、アップルはより慎重な歩みを選択している。まずは内部プロセスから始めて、AIの実際的な価値と信頼性を確保し、その後、広範囲な製品戦略に段階的に展開していく考えだ。

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これにより、今後の2025年秋の新製品発表会でAIに関連するさらなる驚きがもたらされるかどうかが注目されている。アップルはこれまで、デバイス側でのAI(on-device AI)のプライバシーとパフォーマンスの利点を何度も強調してきた。もし「Asa」が内部で価値を証明すれば、ある形のAIアシスタントが将来的にiPhoneや他のアップル製品に統合され、競合ブランドと対等に立ち向かう重要な武器になる可能性もある。

結論として、「Asa」の登場はアップルが小売販売力を強化するためのツールであり、そのAI戦略の前哨戦でもある。現時点では一般ユーザーに向けて公開されていないが、この動きはアップルの戦略的思考を示している。まず内部プロセスと体験品質を確立し、成熟したAI技術を市場に届けるという考え方だ。消費者にとっては少し待つ必要があるかもしれないが、間近に迫る秋の発表会に対する期待はさらに高まっている。