2025年第二四半期、インドIT業界は再び生成型AI(GenAI)戦略を高調に宣伝した。Wipro、TCS、HCLTech、Infosysなどの主要企業が次々と野心的なAIビジョンを発表したが、その壮大な物語と利益の現実との間には広がりが生じている。アーサー・アンダーライズなどのグローバルな競合がビジネスモデルを再構築し、AI事業で実質的な成長を遂げている中、インドのIT大手はまだ「PPT段階」に留まり、AIビジョンを測定可能な収益増加に転換できていない。

AIロボットの父

Wipro:取引が倍増、収益は減少

Wiproはこの四半期、大きな取引受注額が前年比131%増の27億ドルに達し、200以上の企業向けAIエージェントを導入したものの、収益は前年比で2.3%減少し、純利益はほぼ7%減少するという苦境に立たされている。CEOのSrini Pallia氏はAIが顧客にとって核心戦略であることを述べており、AI強化から自律システムへの移行が財務上の成果として現れていないと語っている。また、次の四半期の収益予測も弱く、-1%から+1%の間とされている。

TCS:AIに関する会話は広がるが、実質的な進展なし

TCSはこの四半期、収益が前年比でわずか1.3%増加し、通貨固定レートでは逆に3.1%減少している。さらに心配なのは、契約総価値(TCV)が前四半期の122億ドルから94億ドルまで大幅に減少していることである。AIに関する頻繁な言及や「DigiBOLT」などといったプラットフォームの提供はされているが、明確な成果やデータの裏付けがない。以前は四半期前にAI事業のパイプラインが15億ドルだったが、今ではその数字は存在しない。

HCLTech:最も大きくGenAIを謳うが、財務面では平凡

HCLTechは引き続きGenAIを最も力強く宣伝しており、OpenAI、NVIDIA、Google Cloudなどとの提携を発表し、9つの独自取引を開始し、12万7千人の従業員に対してAI研修を完了させたと発表している。しかし現実には、この四半期におけるGenAI取引数は12件から9件へと減少し、利益は前年比でほぼ10%減少している。同社が提示した「サービス即ソフトウェア(Service-as-Software)」のような新しい概念でも、市場シェアの向上にはつながっていない。

唯一の明るい点:Tech Mahindra

この四半期において唯一好調だったのはTech Mahindraで、純利益が前年比34%増加し、200以上の産業用AIエージェントを導入し、新規取引額は8億9,000万ドルに達した。同社CEOのMohit Joshi氏は「AI+人間エージェント」の混合システムが将来の方向性だと強調しており、全体的な収益は依然として伸び悩んでいるものの、利益の改善は同社内部の変革「Fortius」が効果を発揮していることを示している。

インド企業の試行錯誤や宣伝とは対照的に、アーサー・アンダーライズは本格的なAI変革の実行力を示している。この四半期におけるGenAIの受注額は15億ドルに達し、過去3四半期を通じて合計41億ドルに上っている。アーサー・アンダーライズはすでに組織構造を再編し、AIをコア業務プロセスに組み込み、「測定可能な価値を提供する」という方針を強調している。それ以前のPoCやデモレベルにとどまっているわけではない。

WiproはAI取引が増加していると主張し、TCSはすべての顧客とのやり取りでAIを言及し、HCLTechは大量のトレーニングと提携に投資している——しかし、どの企業もAI収益に対する明確な財務指標を設定しようとしない。一方で、インドの伝統的ITサービスの中で、メンテナンス、テスト、アウトソーシングなどの職種は縮小や調整を余儀なくされている。